中級から学ぶ(Bài 25)

中級から学ぶ(Bài 25)

「のびる」

「あの時代がおかしかったんですよ」おやじさんが、口をはさんだ。同僚と長い続く不景気の話を始めたときのことだ。「作りさえすれば何でも売れた時代があったもんだから、調子に乗りすぎて自分の本当の姿を見失ってたんだよ、国全体がね」商社を途中で退職して、包丁を握ることにしたというおやじさんの言葉には、次第に熱が入ってきた。「おやじさんの昔の話なんか聞くの、初めてだな」いつもの所で一杯やっていた同僚と私は顔を見合わせた。それからしばらく、おやじさんも交えて経済の話になった。

戦後わずか四十年ほどの間に、資源も資本も持たない日本が、様々な困難に遭うたびにそれに対応、克服(こくふく)して奇跡(きせき)的な経済成長を遂(と)げた。そればかりか、二度にわたる石油危機も乗り切り、有数の経済大国として世界経済におかける重要な役割をも果たすようになった。国を挙(あ)げての経済発展のかけ声の下、企業はどこも、世界市場で十分な競争力を持つ商品の発達を目指して、優勝(ゆうしょう)な人材を確保(かくほ)し、幅広(はばひろ)い技術を身に付けさせる。と同時に、日本独特の終身(しゅうしん)雇用(こよう)制度で身分を保障し、年功序列(ねんこうじょれつ)にしたがって雇用者を昇進させ、給与を上げることで、社員の帰属意識を強くしてきた。時には貿易摩擦(ぼうえきまさつ)を引き起こした国々から「日本株式会社」と冗談交じりに呼ばれるほどに、企業は国と一体となって業績(ぎょうせき)を伸ばしてきた。

「「仕事は」って聞かれると、会社の名前を答えてたものな」おやじさんの顔に懐かしそうな表情が浮かんだ。「社長が父親役で、従業員(じゅうぎょういん)全員が家族」そう語るおやじさんの言葉が当時の状況をよく物語っている。もっとも、その辺の事情は同僚と私も知らないわけではない。

家にいる時間よりも会社にいる時間の方が長い、そんな生活の繰り返しの時代だった。今振り返ってみれば、目先の利益ばかり追っていたと言われるかもしれないが、それでも一生懸命頑張り、業績はどんどん伸びた。しかしながら、利益にばかりとらわれているうちに何かを見失い、ふと気が付くと、残ったのはカネとモノだけにしか価値(かち)を見いだせない人間、そして、ひどい公害だけだった。その後、はかないシャボン玉のような存在だったバブル景気の崩壊(ほうかい)がきっかけとなって、長い不況時代へ。今、テレビや新聞紙上では、かつてない規模で続く倒産(とうさん)、リストラによる高い失業率(しつぎょうりつ)、新卒者の就職難と、毎日のように深刻な状況が報道されている。
もっとも一方では、残業に取られなくなった時間や週休二日制でできた余暇(よか)を利用して、ボランティア活動や障害(しょうがい)教育のクラスに参加する余裕を持った人たちも確実に増えてきている。「自分らしく」をキーワードに「カネとモノからココロに目を向ける時代」へ移りつつあるという。人間が人間らしく生きるために、長期的な視野に立って揺(ゆ)らぐことのない社会の基礎(きそ)を築(きず)くことの大切さが、今こそ問われているのかもしれない。

「二度とあんな時代は来ないよ。いや、来て欲しくないね。嫌だよ、あんな人生。ハイ、ビールね」他の客の注文(ちゅうもん)も聞きながら「包丁持って二十五年。皮肉(ひにく)な話だけど、金は無(な)くても今の方がずっと地道に、自分の方で生きてるような気がするよ」おやじさんは言葉を続けた。


 


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